薬物代謝に関するラットP4501A1及びその酵母還元酵素との融合酵素をクロロプラストに発現・輸送したトランスジェニックタバコ植物を作出し、クロロプラストにおけるP450依存性のモノオキシゲナーゼ活性を測定すると共にそれらタバコ植物における除草剤クロロトルロンの代謝及び耐性を試験した。 その結果、トランスジェニックタバコから調製したクロロプラストは光照射下でコントロールに比べて高いモノオキシゲナーゼ活性を示し、暗所及び電子伝達阻害剤DCMU存在下ではコントロールの値まで低下した。従って、P450は光合成電子伝達系とカップリングして高いモニオキシゲナーゼ活性を示したと考えられる。また、P450をクロロプラストに発現・輸送したトランスジェニックタバコでは除草剤クロロトルロンをN-脱メチル化及びメチル基水酸化を経て、コントロールタバコより速やかに代謝して、除草剤耐性を示すことが判明した。特に、メチル基水酸化活性が除草剤耐性に大きく寄与していると思われる。 以上の通り、遺伝子工学によりラットP4501A1をクロロプラストに発現・輸送することにより、P450は光合成電子伝達系とカップリングしてP450依存性のモノオキシゲナーゼ活性を示すことが判明した。即ち、新規能性植物を作出することに成功した。
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