研究概要 |
1.1,3,5-トリアジン系化合物を約100種合成し,畑土壌を用いて硝酸化成抑制効果を測定した.その結果,既知の硝酸化成抑制剤よりも高い活性を有する化合物を見いだすことができた.また,すべての合成化合物においてヒドロキシルアミンと亜硝酸の蓄積は認められず,硝酸のみが検出された. 2.合成化合物はNitrosomonas europaea ATCC 25978とNitrosomonas sp.TK 794に対して生育抑制効果を示した. 3.Nitrosomonas属の高増殖化を目的として,亜硝酸生成量を指標にその培地組成の構築を行った.NH_4HCO_3を窒素源並びに炭素源として使用し,リン酸バッファーおよびMg^<++>・Ca^<++>のほかに8種類の微量無機塩の添加濃度,さらにpHの中途修正を検討した.その結果,亜硝酸生成量は従来の培地に比べて3倍高い値を示す培地を作ることができた. 既知の硝化作用抑制剤である2-amino-4-methyl-6-trichloromethyl-s-triazineおよびN-ServeのN.europaea ATCC 25978とN.sp.TK 794の酵素系への阻害作用を調べた.アンモニア酸化細菌がアンモニア酸化系の中間体であるヒドロキシルアミンを酸化するヒドロキシルアミン酸化還元酵素を対象とした.その結果,両抑制剤とも両菌株由来の本酵素に対して同様の傾向を示し,0.1μg/mlでおよそ30〜40%の阻害にとどまった.このことから,アンモニア酸化細菌における硝化抑制作用の主な阻害としては,アンモニア酸化の前段を司るアンモニアモノオキシゲナーゼ活性に対する阻害効果が推察された.
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