研究概要 |
1.イミドイル縮合反応を用いて合成が困難であった2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-トリフルオロメチル-1,3,5-トリアジンと2-メチル-4-トリクロロメチル-6-トリフルオロメチル-1,3,5-トリアジンを合成し,さらにこれら化合物のアミノ置換体を合成した. 2.トリフルオロメチル基の導入によって強力な硝酸化成抑制剤を得ることはできなかったが,この置換基によって1,3,5-トリアジン系化合物に除草剤としての作用と硝酸化成抑制剤としての作用の間に選択性を持たすことができる可能性を見いだした. 3.前回報告した新しい培地(ABC培地)を用いてNitorosomons europaea ATCC 25978の大量培養を検討した.従来の培地では0.92g/10Lの菌体を得るのに前培養を含めて21日間をようしたが,ABC培地では1.61g/10Lの菌体を得るのにわずか9日間であった. 4.アンモニアモノオキシゲナーゼは単離するとすぐに失活するので直接的にこの酵素の阻害を確かめることは困難である.そこで,N.europaea ATCC 25978の無細胞液と硫酸アンモニウムを用いて酸素消費量を測定することによってアンモニアモノオキシゲナーゼ活性の阻害を検討した.無細胞液に硫酸アンモニウムを加えると酸素を消費した.強力な硝酸化成抑制作用が報告されている,1,3,5-triazine系化合物MASTは無細胞液の酸素消費量を減少させた.10分間100℃に熱した無細胞液では酸素の消費が見られなかった.また,硫酸アンモニウム無添加の無細胞液では酸素の消費は見られなかった.以上の結果,無細胞液中にアンモニア酸化活性の存在が示唆された.MASTにおける無細胞系のpI_<50>値は6.34であった.これは細胞試験の値5.31を10倍も上回るものであった.
|