研究課題/領域番号 |
07456042
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水野 重樹 東北大学, 農学部, 教授 (90112903)
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研究分担者 |
原田 昌彦 東北大学, 農学部, 助手 (70218642)
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キーワード | ニワトリ / ニホンコウノトリ / W染色体 / Z染色体 / ヘテロクロマチン / 性判別プローブ / ゲノムライブラリー / PCR法 |
研究概要 |
ニワトリのZ、W性染色体を主たる対象として研究を進め以下の結果を得た。Z染色体の一端部には顕著なヘテロクロマチン形成域が存在するが、レーザービームによる染色体切断法とランダムPCRを組み合わせて作製した部位特異的ゲノムライブラリーからクローンを得て解析した結果、この領域は約24kbのNheI断片を反復単位として、これが約830回反復したマクロサテライト配列で構成されていることが明らかになった。これはW染色体の約2/3の領域が形成するWヘテロクロマチンの構成DNA (XhoIおよびEcoRIファミリー配列)が約21bp単位が縦列反復した構造をとることは大きく異なる。これら両ヘテロクロマチン構成DNAに共通する性質はゲノム中で高度にメチル化修飾を受けていることとGallus属に特有で進化上新たに増幅した配列と考えられる点である。一方、1本のW染色体から上記と同様の方法でゲノムライブラリーを作製して、同染色体特有の非反復配列クローンの検索を行い、染色体上でXhoLファミリー、EcoRIファミリーがそれぞれ占める領域の間に局在する約25kbの非反復配列域をクローニングした。この中に含まれる0.6kbのEcoRI断片(EE0.6)は広く鳥類のW染色体上に保存された配列であることが分かり、EE0.6をプローブとしたサザンブロット法で雌特有のバンドが検出されることから鳥類性判別のユニバーサルプローブとして利用できることを示した。しかし、EE0.6の関連配列がZ染色体上にも存在し、種によってはW、Z染色体上の配列間の相同性が高く、PCR法によっては、雌ゲノムのみから増幅産物を得ることが難しい場合もあった。そこで、そのような零であるニホンコウノトリのW、Z染色体上のEE0.6相当配列をクローニング、塩基配列を比較し、数塩基の配列の異なるプライマー配列部位を見い出し、PCRを行った。その結果、雌ゲノムからのみ増幅産物を得ることができ、外観からは性の分からない同種の性判別が確実に行えるようになった。ニワトリのEE0.6は推定エキソンを含むが、翻訳読み枠はいずれも終始コドンを含み、現在は遺伝子機能を失っていると推定される。
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