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1997 年度 実績報告書

立体異性体生合成酵素反応の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 07456049
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

橋本 隆  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (80180826)

研究分担者 中島 敬二  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (80273853)
キーワード立体特異性 / 結晶構造解析 / 還元酵素 / トロピノン / アルカロイド
研究概要

前年度に引き続き両TR酵素の結晶構造解析をおこなった。構造モデルはTR-Iでは2.4Å、TR-IIでは2.3Åの分解能において精密化し、モデルの誤差を示す指標であるR値は、TR-Iで0.155、TR-IIで0.205という良好な値にまで低下した。また各アミノ酸残基の立体化学的性質も良好であった。両TRの2量体構造はほぼ同一であり、サブユニットは主に疎水的相互作用によって会合していた。またサブユニットの構造も両TR間で保存されており、ともにロスマンフォールドからなるコアドメインとそこから突き出た小ドメインからなっていた。両ドメイン間には基質結合部位と予測されるクレフトが存在し、補酵素であるNADPとの共結晶であるTR-Iでは、このクレフトの底部にNADPが結合していた。この補酵素結合部位の構造はTR-IIにおいてもTR-Iと同一であった。またクレフト内に活性残基であるTyrが突出しており、その位置も両TRで同一であった。以上のことよりTRの反応立体特異性はトロピノンの酵素への結合方向のみによって決定されていることが明らかとなった。そこで基質結合部位にトロピノンをモデリングしたところ、TR-IIではトロピノンの窒素原子が結合すると予測される部位にグルタミン酸残基が存在し、この両者の間の静電気的結合がトロピノンの配向を決定していると推定された。一方TR-Iにおいてトロピノンの窒素原子が結合すると予測される部位には電荷をもったアミノ酸残基は存在しなかったが、これとは反対側にヒスチジン残基が存在しており、これがトロピノンの窒素原子を反発することによってTR-IIとは逆の反応立体特異性を獲得しているものと推定された。すなわち両酵素の分子進化においては、共通のbackbone構造をもつ基質結合部位の電荷の分布がアミノ酸の変異によって変化し、これにより互いに逆の反応立体特異性が獲得されたことが判明した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Keiji Nakajima et al.: "Crystal structures of two tropinone reductases : Different reaction stereospecificities in the same protein fold" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. (印刷中). (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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