酵母Saccharomyces cerevisiaeの細胞内カチオンホメオスタシスの維持機構について、以下を明らかにした。 1.カルシニューリンとAキナーゼによる塩ストレス適応機構: 高塩ストレス下に、細胞内塩濃度の上昇を抑える上で重要なNa+排出ポンプをコードする遺伝子ENA1の発現誘導は、カルシニューリンにより正に、A-キナーゼにより負に制御されていることを明らかにし、ENA1の発現制御機構のモデルを提示した。 2.食塩感受性変異株の取得と解析: 食塩感受性変異株を1370株取得し、30の相補グループに分類した。遺伝学的解析によりカルシニューリンの下流で機能することが予想される遺伝子について、遺伝子のクローニングを行なった。1.で述べた転写調節機構に関係すると予想される遺伝子も含まれていたので、これらの解析を行なっている。 3.カルシニューリン破壊株の形質を抑圧する多コピーサプレッサーの解析: このスクリーニングにより、転写因子およびトランスポーターをコードすると予想される遺伝子がそれぞれ2個づつ取得されたので、遺伝子破壊によりそれぞれの機能の解析を進めている。
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