研究概要 |
細菌、哺乳類がん細胞及び魚類胚細胞を用い、研究計画調書等に記載の平成8年度研究計画を、以下のようにほぼ達成することが出来た。 1.音波発生機を用いて特定の波長の音波を発生させ、細菌に働かせてストレス下の増殖促進を測定した。バチルス・カルボニフィルス菌をシグナル受信者としたとき、5-12,18-22、28-40キロヘルツに3乃至4個の有効な音波周波数領域を見出した。大腸菌をシグナル受信者としたときは20キロヘルツ周辺の音波には応答がなく、前者とは若干の応答の特異性の違いがみられた。 2.枯草菌バチルス・サチリスの細胞から発信される音波を超高感度マイクロホンに捕捉し、フーリエ変換によって波形を計測したところ、7-10,18-22,27-45キロヘルツに最小4個のピークを見出した。このピークは約9キロヘルツの音波とその倍音を主とする音波であろうと思われる。枯草菌から検出された音波と、同属の細菌バチルス・カルボニフィルスの特異的に応答する音波の周波数領域の驚くげき一致は、これらの周波数領域の音波が細胞間の交信に用いられている可能性を示すものであり、研究代表者はこれを「バイオソニックス」と名付けた。 3.メダカ発生卵を用い、1ミリメートルの鉄板を通して枯草菌バチルス・サチリスの「バイオソニックス」を作用させ、孵化の著しい遅延を認めた。また音波発生機からの10キロヘルツの音波を与えたとき、音波の強さによって孵化の促進と遅延の両方がみられた。細菌と異なって、30及び40キロヘルツの音波の作用は明確でなかった。 4.炭素やその他の多くの天然環境物質の遠隔シグナルを見出した。
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