研究概要 |
タバコ葉肉細胞から調製したプロトプラストにエンハンサーを導入し、アトラジン耐性を示すカルスを得ることをことを試みた。得られたカルスを増殖させた後、α-アミラーゼ生産細胞の選抜を目的として、二層培養法を用いてスクリーニングを行ったが、陽性のカルスを得ることは出来なかった。そこで、ジベレリンやアブシジン酸、2,4-D,ベンジルアデニンおよびウニコナゾール等を組み合わせた培地で、増殖速度や再分化等に変化の見られる細胞をスクリーニングすることを試みたが、カルスを一定量以下にすると増殖がほとんど見られなくなり、これらの系で特異な応答を示すカルスを得ることは困難であると判断した。また、一部増殖したカルスについて、エンハンサーの導入を確認するために再度アトラジン耐性を確認する実験を行ったところ、耐性が認められなかった。増殖の過程で形質転換されたカルスが脱落したものと考えられる。したがって、このような方法で、生理活性物質のスクリーニングに用いることの出来る安定した性質のカルスを得ることは困難であると考えられた。そこで、改めて形質転換を行い、アトラジン耐性を示すカルスを得た。現在、このカルスから再分化個体を得、遺伝子導入を確認している。この再分化した個体から改めてカルスを誘導し、均一なバックグランドをもつ細胞を得て、液体培地あるいは固体培地において、植物ホルモン等の様々な生理活性物質に対して、特異な応答を示す細胞を得ることを目的としたスクリーニングの系の確立を続行中である。
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