研究課題/領域番号 |
07456063
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小関 左貴代 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (70230315)
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研究分担者 |
谷 史人 京都大学, 食糧科学研究所, 助教授 (70212040)
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キーワード | 老化 / ストレス / ストレスタンパク質 / HSP70 / HSP32 / ヘムオキシゲナーゼ / 酸化ストレス |
研究概要 |
昨年度には、ストレスタンパク質によってその誘導原因が異なることを明らかにした。また、加齢に伴って酸化ストレスが生じている可能性が考えられ、本年度は、以下の結果を得た。 1.2および7ヶ月齢の老化促進モデルマウスにパラコートを皮下投与し、肝臓中のHSP32と酸化タンパク質量を経時的に測定した。その結果、両月齢マウスともHSP32量は投与後3時間で最も高かった。2ヶ月齢では6時間後もHSP32量は高かったが、7か月齢では検出限界以下に低下していた。酸化タンパク質量は、2ヶ月齢ではHSP32量が高い3および6時間後では投与前と同レベルであったが、その後は著しく増加した。7か月齢では、6時間後から酸化タンパク質量は高くなっていた。この結果から、誘導されたHSP32の生理機能には、ストレス負荷後初期の酸化抑制と後期の酸化促進の二面性があることが示唆された。 2.老化促進モデルマウスをメラトニンまたはデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)を含む食餌で5ヶ月間飼育した後、パラコートを皮下投与したときの生体内抗酸化性物質に及ぼすこれらのホルモンの影響を調べた。パラコート投与3時間後での肝臓中のHSP32量は、対照群に比べてメラトニン群とDHEA群の方が高い傾向が認められた。このことは、これらのホルモン用物質投与によって老化の抑制効果があることがストレス応答を指標とした実験によって確認できた。 3.CaCo-2細胞を用いて金属ストレスを与えた場合の、HSP32誘導と酸化タンパク質生成について経時的に測定した。その結果、亜砒酸ナトリウムとヘミンは、HSP32を誘導するがこの誘導は、塩化第二銅を同時に添加することによって抑制された。いずれの場合も、金属添加後、速やかにHSP32が誘導され、この誘導が消失する時期に酸化タンパク質量が増加するパターンは同じであった。このことからも、1で示唆されたHSP32の生理機能の二面性が確認された。
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