1.老化促進モデルマウスにおいて、生体内部環境の加齢に伴う変化によってストレスタンパク質が誘導されることが明らかになり、老化もまた、ストレスの一種であることが明らかになった。 2.ストレスタンパク質の加齢に伴う変動の様相は、ストレスタンパク質の種類によって異なることが明らかになり、ストレス応答を引き起こすシグナルはストレスタンパク質の種類によって異なることが明らかになった。 3.過剰なストレスの対するストレスタンパク質の誘導量は加齢に伴って低下し、ストレス負荷時の酸化タンパク質レベルは加齢に伴って増加することが明らかになり、老齢マウスは障害を受けやすい状態にあることが明らかになった。 4.パラコート投与初期には、ヘムオキシゲナーゼ-1の顕著な誘導が認められ、酸化タンパク質レベルは投与前と同レベルであった。後期には、ヘムオキシゲナーゼ-1量は低下し、酸化パンタク質レベルが顕著に増加した。これらのことから、誘導されたヘムオキシゲナーゼ-1の役割には、初期の抗酸化的側面と後期の酸化促進的側面の二面性があることが示唆された。 5.メラトニンやデヒドロエピアンドロステロン投与により、ストレス応答の低下を抑制することができた。これらのホルモンを長期的に経口摂取することは、老化抑制に有効である可能性が、ストレス応答を指標とした実験によって確認できた。 6.CaCo-2細胞に種々の金属ストレスを与えHSP32誘導と酸化タンパク質生成についてしらべた結果、亜砒酸ナトリウムとヘミンはHSP32を誘導し、塩化第二銅の同時に添加によってこれらは抑制された。金属添加後、速やかにHSP32が誘導され、この誘導が消失する時期に酸化タンパク質量が増加するパターンは同じであったことから、4で示唆された誘導されたHSP32の生理機能の二面性が確認された。
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