研究課題/領域番号 |
07456066
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
荒木 眞之 筑波大学, 農林学系, 助教授 (80193077)
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研究分担者 |
石塚 森吉 農林水産省, 森林総合研究所・生産技術部・物質生産研究室, 室長
内田 煌二 筑波大学, 農林学系, 助教授 (10015670)
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キーワード | ハイマツ / ゴヨウマツ / キタゴヨウ / 遺伝的変異 / 遺伝的差異 / 遺伝的浮動 / 創始者効果 / 繁殖様式 |
研究概要 |
ハイマツ及びゴヨウマツ・キタゴヨウマツ集団が保有する遺伝的変異を明らかにした。わが国のこれら3種の分布域を広くカバーするように34集団(内18集団がハイマツ・5集団がゴヨウマツ・11集団がキタゴヨウ)から各集団約30個体以上ずつ針葉を採取しアイソザイム実験に供試した。その結果、ハイマツ、ゴヨウマツ、キタゴヨウマツの3種すべてが集団内に高い遺伝的変異を保有していることが明らかになった。しかし、集団間の遺伝的変異ではハイマツは高い遺伝的変異が観察され、集団の分化が進んでいることが明らかになったが、ゴヨウマツ・キタゴヨウでは集団間の遺伝的変異はほとんど観察されなかった。また、ゴヨウマツ、キタゴヨウの変種間においても遺伝的な分化は認められなかった。このハイマツとゴヨウマツ・キタゴヨウの種間における差は、分布変遷などによる創始者効果や集団が分化してからの時間の差によって生じたと考えられた。 ハイマツの集団内の遺伝的構造を明らかにした。広くハイマツが分布する赤石山脈の間ノ岳において、38×18mの調査区を設定し、その中の2m毎の格子上のハイマツの針葉を200個体分採取した。その針葉をアイソザイム実験と、DNAを抽出してRAPD分析及びISSR分析に供試した。その結果、全体の約35%にあたる69個体が2個体から11個体からなる24個クローン群に属することが明らかになった。また、ハイマツ群落内の遺伝的構造はごく近距離においては統計的に有意な構造があるものの、遠距離においてはランダムに遺伝子が分布していることが明らかになった。このことからハイマツは従来から言われているように伏条更新が優先的ではなく、実生更新と伏条更新の両方を行うこと、他の他殖性である針葉樹と同様にランダムな遺伝子の分布構造を持っているが、近距離では種子散布様式、創始者効果によると考えられる遺伝的構造を持つことが明らかになった。
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