コナラ、タラノキ、アカヤシオ、ヤシャブシ、シラカンバ、ソメイヨシノの6樹種についプロトプラストの単離・培養をおこなったところ、タラノキ、ヤシャブシ、シラカンバでカルスが誘導され、植物体の再生に成功した。さらに、早生樹であるヤシャブシ、シラカンバ、ギンドロの間で細胞融合を行ない、その後の培養条件の違いから融合細胞を選抜した。プロトプラストから得られたカルスを3樹種の最適分化培地に移植し、植物体再生を試みた。細胞融合条件は、0.5Mマンニトール+2.5mMCaCl_2の融合バッファーを用い、プロトプラストの融合は、AC200V/cm、周波数1MHz、DC2kV/cm、パルス幅100μ secで行なった。この条件で、ヤシャブシでは31%。シラカンバでは34%、ギンドロでは36%の融合率が得られた。 ヤシャブシXシラカンバの融合細胞を培養したとき、1μMNAAと1μM4-PUを含む1/2MS培地では、白色で、形状はシラカンバに類似した両樹種が融合したと思われる液体培養細胞が誘導された。現在、植物体再生条件について検討中である。 シラカンバXギンドロ融合プロトプラストの培養によって、1μMNAAと0.1μM4-PUを含むMS培地でシュートが形成されたが、シラカンバはNAAを含むときには分化しないため、この分化したシュートは融合細胞由来であるものと考えられる。 ヤシャブシXギンドロ融合細胞から、カルスを経由してシュートが分化し、さらにシュートは0.1μNAAと2.5μMIBAを含むMS培地で発根し、系統の異なる数種の植物体が得られた。現在、再生した個体の系統について調査中である。
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