研究課題/領域番号 |
07456069
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
生原 喜久雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (00014960)
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研究分担者 |
戸田 浩人 東京農工大学, 農学部, 助手 (00237091)
小池 孝良 東京農工大学, 農学部, 助教授 (10270919)
相場 芳憲 東京農工大学, 連合農学研究科, 教授 (00014944)
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キーワード | 地球環境 / 温暖化 / 常緑広葉樹 / 物質循環 / 無機化 / 蒸散量 / 土壌呼吸 |
研究概要 |
北限の常緑広葉樹林の物質循環の特徴を明らかにするために、千葉県にあるスダジイ林の地上培養分量、A0層養分量および鉱物土壌層の養分量、リターフォールの養分量の調査を行った。地上部現存量は237t/ha、養分量はN:615、K:373、Ca:543、Mg:102kg/haであった。赤道付近の常緑広葉樹林の現存量は450t/haで、北緯35度の北限に近い林分で150t/ha程度と推定された。A_0層量は28.4t/haで、C量は8.1t/haであった。既往のわが国の常緑広葉樹林のA_0層量は平均9.9t/haで、C量は5.2t/haで、本調査地のA_0層量は非常に多い。 スダジイの落葉は4〜6月に集中し、年間のリターフォール量は7.3t/haで、養分量はN:93、P:3、K:18、Ca:82、Mg:19kg/haであった。常緑広葉樹林の緯度とリターフォール量の関係は、直線的な負の相関がみられ、赤道付近でのリターフォール量は約11t/ha、北限でおよそ6t/haと推定された。同様の傾向がリターフォールのN量にもみられ、赤道付近で約130t/ha、北限で約60kg/haと推定された。 年間の地上部の乾物生産量は20.3t/haで、地上部への養分吸収量はN:120、P:7、K:36、Ca:109、Mg:23kg/haであった。この値は既往の常緑広葉樹林の養分吸収量よりも大きい。 本調査地のスダジイ林はリターフォール量およびA_0層量が多い。着葉年数も3年と他の常緑広葉樹林に比較して長い。少ない葉への配分で高い純生産率であり、効率のよい成長を行なってるといえる。従って、物質循環量および生産量は、西南日本の常緑広葉樹林における既往の報告と比較しても、同等かそれ以上であることが分かった。
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