研究課題/領域番号 |
07456069
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
生原 喜久雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (00014960)
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研究分担者 |
戸田 浩人 東京農工大学, 農学部, 助手 (00237091)
小池 孝良 東京農工大学, 農学部, 助教授 (10270919)
相場 芳憲 東京農工大学, 連合農学研究科, 教授 (00014944)
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キーワード | 気温変動 / 常緑広葉樹 / 物質循環 / 土壌生態系 / 土壌呼吸 / 蒸散 / 光合成 |
研究概要 |
本研究は北限に近い常緑広葉樹林の生理・生態的特性が気温変動によってどのように変化するかを明らかにするものである。平成7年度に調査を開始した千葉県にあるマテバシイおよびスダジイ林分の調査を継続し、養分の植物-土壌系の維持機構を解析した。具体的な調査項目は、地上部現存、A_0層量、リターフォール量およびそれらに含まれる養分量、鉱物土壌層の養分量などである。本調査および既往の調査結果から、赤道付近の常緑広葉樹林の現存量はおよそ450t/ha、北緯35度の北限に近い林分では150t/haと推定された。リターフォールの調査から、赤道付近で約11t/ha、窒素量で約130kg/ha、北限でおよそ約6t/ha、窒素量で約60kg/haであることなどなど、北限での常緑広葉樹林の現存量および養分量の特性を明らかにすることができた。 北限での常緑広葉樹林土壌での炭素と窒素の動態と地温との関係を明らかにするため、反応速度的解析を適応させて解析した。その結果、地表へのCフラックは8.5t/haと推定された。この値は北関東地方のスギやヒノキ林の3.8〜4.3t/haに比較して大きいなど、炭素と窒素の循環特性の温度依存を明らかにすることができた。 常緑広葉樹の光合成能の季節的変化を明らかにするため、マテバシイおよびシラカシを用いて調査した。その結果、常緑広葉樹の最大光合成速度は当年葉であるが、初夏では2年葉の方が高い能力を示した。温度-光合成曲線から得られた光合成適温域は20℃前後と推定された。冬期も着葉したままでいる常緑広葉樹では、生理的機能を変えて低温環境に適応していると予測され、常緑広葉樹の光合成特性を明らかにすることができた。
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