研究概要 |
1.木材に関する感性情報としては,人の五感のうち特に視聴触嗅感覚が大きな割合を占めている.その中でも特に木材の見た目のイメージが人の感性に及ぼす影響は大きい.木材はなぜ絹のように上品な深みのある光沢をもっているのか,それは木材の細胞の透明性と細胞内こうによる無数のミクロな鏡面反射によるものと考えられる.この光沢を定量化し評価する方法として,ミクロオーダーからマクロオーダーまでのコントラストを数量として扱う方法を提案し,その材料における全オーダーでの最大光沢に対するミクロオーダーでの光沢の比が大きいほど質感のあるイメージを与えることを明らかにした。 2.木目模様が感じのよいイメージを与えるのはなぜかを明らかにするため、柾目と類似性のある縞パターンを取り上げ,その画像的特徴としてコントラストを求めた.その結果,「派手な」「あらい」イメージとコントラストの間に高い相関のあること,また「感じのよい」イメージを与えるパターンには最適コントラストが存在することを明らかにした.このことは縞パターンに限らず種々の木材及びコンピュータ・グラフィックスで作成した各種木目にも当てはまった. 3.木製楽器がなぜ「やわらかい」イメージを与えるのかを明らかにするため,コンピュータ・シンセサイズにより波長ごとに減衰率を変化させた種々の音を作成し,アンケート調査を行った結果,木を叩いたようなイメージを与える音は,全般に減衰が速くしかも高周波で減衰が特に速く,さらに低周波成分が相対的に大きい音であることが明らかとなった. 4.各種材料に触れたときの脳波の違いを測定したが未だ不明の点が多く,今後さらに特徴抽出の方法をより深く検討する予定である.
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