研究課題/領域番号 |
07456092
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
渡辺 翼 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (30095517)
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研究分担者 |
廣瀬 裕一 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (30241772)
苫名 充 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (10246853)
森本 忠昭 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (20239677)
朝比奈 潔 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (10147671)
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キーワード | コイ / マダイ / シモフリボヤ / Bリンパ球 / マクロファージ / IgM / chemotactic factor / 顆粒球 |
研究概要 |
コイの血清存在下で、造血系細胞を培養すると、細胞表面にIgMを持った細胞からなコロニーが形成され、顆粒球だけでなく、Bリンパ球も培養可能なことが判った。報告者らが作成したコイのIgMに対するモノクローナル抗体は、細胞表面だけでなく、細胞質も染色する。このモノクローナル抗体を用いて、細胞表面に発現しているIgM鎖を決定すると共に、コイ血清中のリンパ球増殖因子を精製しようとしている。マダイの常在腹腔細胞は非常にユニークで、常在腹腔マクロファージ(Mφ)の他、顆粒球と分類できない大型細胞が存在することを見いだしている。顆粒球は、peroxidase陽性の顆粒を持ち、好中球と同じ機能を持つと考えられる。大型細胞は、どの染色でも染まらない顆粒を持っているが、その機能は不明である。マダイの常在腹腔Mφの培養に成功し(PMM系)、現在30代以上継代している。PMM系は、細胞表面にマダイのIgMに対するレセプターを有し、走化性因子を産生すると共に、この因子により誘導される、極めて興味深い培養細胞系である。この培養細胞系の産生する走化性因子には2種類あるらしく、高分子量のものと低分子量のものを精製中である。高分子量のものは、精製の過程で活性を失うので、2種類以上の成分からなる可能性がある。低分子量のものは、分子量5,000-10,000である。海産魚の常在腹腔細胞は種により非常に異なっており、マダイのように3種の細胞がある魚種、スズキ、ヒラメのようにMφと顆粒球が存在する魚種、ブリのようにMφだけの魚種、および、コチ、クロダイ、のようにMφ、顆粒球、大型細胞の他にリンパ球が存在する魚種に分けられる。この多様性が腹腔Mφの分泌する走化性因子の相違による可能性があるので、代表的な魚種の常在腹腔Mφの培養を検討中である。群体性ホヤのシモフリボヤでは、被嚢のクチクラ層の中に多数の食細胞が存在し、器官培養により、この食細胞が得られることを見いだしている。この食細胞の培養法を現在検討中である。
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