研究概要 |
スケトウダラ筋肉の加工特性は、ミオシンの頭部領域の構造特性に起因すると考えられる。そこで本研究ではまずスケトウダラ・ヘビーメロミオシン(HMM)の調製とその部分アミノ酸配列の解析を行ない、ニワトリ・ミオシンと比較することにより一次構造と機能特性に関する知見を得ようとした。 HMMは筋原線維をa-キモトリプシンで消化し、Mg-ATP溶液で抽出後、40〜55%飽和の硫安分画により精製した。HMM重鎖は4M尿素で軽鎖と分離した後、CNBrにより断片化した。得られたペプチド断片のアミノ酸配列は自動シーケンサーにより分析した。 a-キモトリプシン消化により、HMM重鎖およびLMMと思われる分子量約160,000と60,000の断片が主に生成した。HMM重鎖のCNBr消化断片の一つのアミノ酸配列はNPPKYDKIEDで、これはニワトリ・ミオシンの81-91番目の配列と完全に一致した。この配列中の4番目のlysineはTNP化を受けるreactive lysineとして知られている。一方、他の断片の配列分析により、ニワトリ・ミオシンの792-802、857-883、および1093-1106番目に相当する配列も明らかになった。それらとニワトリの配列とのホモロジーは64%、81%で、比較的高かった。一方、LMM(60,000断片)のN-末端20残基のアミノ酸配列はESKYETDAEQRTEELEEAKKで、ニワトリ速筋ミオシンの1,374-1,394の配列と90%のホモロジーを示した。このことからスケトウダラ・ミオシンのHMMとLMMの切断点はニワトリHMMとLMMの切断点(1,289番目のTyr)より約110残基C-端側であると考えられた。 なお、平行してミオシンの調製法も検討してきたが、最近高純度のものを得る方法を確立した。現在、ミオシンの各種消化断片を調製してより広範囲にわたる配列の分析を進めている。
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