研究概要 |
スケトウダラ・ミオシン重鎖の一次構造解析は、最近クローニングにより著しく進展、我々が中心に頭部HMM領域(1-875アミノ酸)の、また東京大学(農)・渡部終五氏が中心となり尾部領域(839-1985アミノ酸)を協同して決定した。そこで、本研究では修飾アミノ酸や、プロテアーゼ消化部位の特定解析をタンパク質から検討した。なお、スケトウダラHMMおよびLMMは、筋原線維のα-キモトリプシン(α-CT)消化及びMg-ATP抽出によって調製した。 1. HMM重鎖から尿素-アセトン処理で軽鎖を分離除去した後、リジルエンドペプチダーゼ消化し、消化物をHPLCで分離精製した。純度良好な15の断片を得て、アミノ酸配列を解析した結果、残基81-92,250-257,546-555,642-659,789-799,854-879,878-886,920-941,1175-1195,1296-1307,1374-1390,1378-1396,1562-1576,1727-1738,1846-1860の15断片、計227残基のアミノ酸配列を明らかにした。この中、546-555番目の部位に相当する「ASDVTFK^*-NK」の^*Lysはエドマン法で特異な幅広ピークとなり,ニワトリ・ミオシンの545-549番目のATDTSFK_-NKにあるK_- ;トリメチルリジンに相当することが分かった。 2. LMMの構造安定性をα-CT消化と断片の配列分析により、分子量約65,000(65K)のLMMから、58K, 55K, 42K, 36K, 34K, 27K, 22K, 18K, 16K, 15Kの断片が経時的に生成することが分かった。ウサギ骨格筋のLMMでは断片化はほとんど起こらなかった。そこで断片をPVDF膜に転写し配列分析した結果、LMMのN端から4及び472番目のTyr位、次いで188及び353番目のLeu位が消化されやすいことが分かった。ただし、この部位近傍のアミノ酸配列が特にウサギLMMの配列と異なるということは無いことから、スケトウダラLMMが消化され易いのは、その立体構造がウサギLMMのそれよりも緩いことが原因と考えられた。得られた断片の配列は現在、分析中である。
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