研究概要 |
平成8年度では、住宅開発が進んだ加古川市流域であるY流域において、流域の都市化による水文特性(流出特性)と水質特性(負荷発生特性)を明らかにするために、以下の資料収集・解析を行った。1,支流域単位の流出水の変化定量:Y流域における土地利用データと水文資(流出量・降水量)をもとに、分布貯留型流出モデルにより流域開発と流出特性の変化を定量的に評価・検討した。2,パラメータ同定による流出評価:さらに、表面流出と地形との物理的な関連を重視して、Y流域における数値地図情報(標高データ)をもとに、分布貯留型モデルの1つであるTOPモデルにより、流域の流出特性の変化を定量的に評価した。3,面源負荷の評価及び排出物質流下モデル開発:Y流域の土地利用情報、水文資料、水田の栽培に関する情報をもとに、流域の面源負荷に着目し、複合タンクモデル(分布貯留型モデル)を用いて、各土地利用からの発生負荷を、Y流域内の各支流域ごとに推定した。 最後に、上記の3研究のとりまとめとして、流域変化による河川流量・水質の予測モデルの原型の設計を行った。現在のところ、流域開発が進んだ場合の流出特性の変化を考慮した上で、Y流域の流出負荷(面源負荷)を推定することが可能な水文・水質の基礎モデルを、複合タンクモデルを原型として、完成させている。このモデルでは、従来の原単位法と比べ、流出特性の変化をより現実的に評価できること、及び調査では得難い水質特性をモデル上で評価できることの2点が特徴として挙げられる。
|