【実験1】実構造物コンクリート部材のサイズに近いマスコン供試体1体(高さ×幅×奥行=70×60×40cm)とφ10×20cmの円柱標準供試体12本を作成した。マスコン供試体は、材令7、14、28、42、56日に超音波伝播速度を測り、材令56日には70×60cmの2側面より直径φ7.5長さ約15cmのコアを67本抜取り、それらの密度、超音波伝播速度、圧縮強度を測定した。標準供試体も材令56日に抜取りコアと同じ項目を測定した。これらの結果より、コア直径の縮小(φ10よりφ7.5cmへ縮小)の効果と超音波伝播速度に及ぼす影響と、高さ方向の密度と超音波伝播速度の違いを明確にできるか検討した。 【実験2】塩ビパイプ型枠で直径φ10、15、20cmで長さ20、30、40、50、60cmの円柱供試体15本と、φ10×20cm、φ15×30cmの円柱標準供試体と10×10×40cmの角柱標準供試体各6本ずつ作成し、材令7、14、28日に塩ビパイプ供試体は最小長さ単位20cmに、標準供試体は半分の長さに切断し、切断後の超音波伝播速度を測定した。これらの結果より超音波伝播速度が供試体の直径、長さ、形状、打込み方向によってどのような影響を受けるか検討した。 【結論】これらの実験結果をまとめると次のようになる。 (1)超音波法は、実構造物部材に近いマスコン供試体の内部状態(強度発現など)をモニターする極めて有効な手段である。 (2)切取りコアのサイズは、直径10cmよりも直径7.5cmの方が、マッシブなコンクリート内部の密度、超音波伝播速度の分布を検討するのに適している。 (3)超音波伝播速度は、供試体の長さと直径が増すほど小さくなるが、長さよりも直径または太さの方が減少に対する影響は大きい。
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