研究概要 |
農用移動ロボットを精密なほ場管理に使用するためには,ロボット自身の自律化のみならず,ロボットが取得したほ場情報を営農に役立てるための情報システムを構築する必要がある.すなわち,外部固定の通信基地局と移動ロボットである通信移動局間の通信システムを構築することは,ローカルな環境に対する適応とグローバルな視点から見たマネージメントを両立するための有効な手段となる.そこで本研究は,農用移動ロボットを外部から監視し,営農支援に使用することを目標とし,基地局・移動局間でデータ通信できる通信システムの構築を目的とした. 実際の農用移動ロボットを移動局とした通信システムを構築した.ローカルなデータ計測用に,排気温度は熱電対,方位は地磁気方位センサ,ロール・ピッチ角は傾斜計をロボットに取り付けた.計測したデータは移動局であるロボットから基地局に送信した.システムの機能を確認するために,往復ロータリ作業で地磁気方位センサを使用して自動走行を行った.その結果,基地局において一定周期ごとの移動局のデータが観測可能であり,ロボット監視システムの正常な機能が確認された. また,移動ロボットの位置計測装置として使用した追尾機能付き測量機からのデータと移動局データを組み合わせることで,営農支援を行うためのほ場環境マップを作成した.位置データからはほ場管理のための地形マップを作成した.この地形マップから平均ほ場平面を算出し,その平面から凹凸マップを作成した.さらに,PTO軸性能試験結果からは排気温度と機関回転数を用いて機関負荷の推定を行い,作業の所要動力マップを作成した.最後に,機関負荷と土壌硬度の相関から,リアルタイムな土壌硬度推定手法の可能性も示した.
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