1.製糖工場の各操作段階での糖液の物性の把握 今年度の沖縄県下の製糖は1月中旬より開始された。そこで、操業中の粟国村農協製糖工場、与那国町農協製糖工場、小浜糖業株式会社を調査した。粟国村製糖工場は直火式の濃縮方式、与那国町農協製糖工場と小浜糖業は濃縮に真空効用缶を用いている。比較的試料採取の容易な粟国村農協製糖工場では搾汁直後の初汁から最終の濃縮までの全ての工程の試料を採取するとともに2段階の濃縮過程の粘度を直接測定できた。その他の工場については現在採取した試料を用いて諸物性を測定している。 2.噴霧乾燥機による糖液の乾燥 黒糖溶液の噴霧乾燥を試みているが、当初予想していなかった操作上の障害が発生し、現段階では最適運転条件を決定するまでには至っていない。すなわち、圧縮空気の湿度が収率に影響すること、粉流体と管壁との摩擦による静電気の発生、噴霧乾燥した粉体が管壁に固着して正確な収量が得られない、また、送液ポンプの定量運転が困難であることなどの問題があるが、これらは今後操作の改良を行って解決できる見通しである。なお、伊平屋村農協製糖工場製の黒糖を粉砕しこれを、14%の水溶液にして、入口温度140℃、出口温度70℃、噴霧空気圧0.1MPa、空気流量0.4m^3/minで噴霧乾燥した結果、水分1.9%の粉体が得られている。 3.黒糖のフィルム包装について 30kg詰めの黒糖(多良間産特等)を各層に分離してこれをさらに8等分して、現行の紙ラミネート包装と防湿性の高いプラスチックフィルムと脱酸素剤等を併用して包装して、6ヶ月間の長期貯蔵を行った。その結果、脱酸素剤を用いたプラスチックフィルム真空包装が有効な包装方法であることがわかった。なお、黒糖の水分吸着等温線から黒糖の潮解点は25℃80%RHであった。
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