1.含蜜糖工場の問題点:沖縄県内の粟国村農協製糖工場、宮古製糖(株)多良間工場、小浜糖業(株)、波照間製糖(株)、西表糖業(株)、与那国町農協製糖工場と福岡県内のJAあさくら農協三奈木支所製糖場の黒糖製造工程を調査した。真空濃縮缶を用いた工場は最終の成形冷却工程以外は自動化されている。しかし、成形冷却工程は一部の工場で自動化が試みられているものの落下菌による汚染防止策がとられていない。食品の安全性の観点からも黒糖の噴霧乾燥は安全な製造方法である。 2.黒糖汁および甘蔗汁の噴霧乾燥:黒糖の水溶液、甘蔗汁のいずれからも噴霧乾燥によって白色粉末状の生成物を得ることが出来た。甘蔗汁の場合、入り口空気温度150℃、空気流量0.4m^3、噴霧空気圧0.1MPa、甘蔗汁流量2.5g/min以下、排気湿度10%RHで固形分回収率約65%であった。入り口空気温度140℃では同条件で固形分回収率約54%であった。雰囲気の湿度が生成物の性状に影響するた研究期間には最適運転条件を見いだすまでには至らなかった。 3.包装材の選択:黒糖を用いた長期の包装貯蔵実験から、ハイガスバリアタイプのラミネートフィルム(厚さ74μm)で脱酸素剤を併用した真空包装が有効であった。 4.生成物の物性の調査:生成物の量が少ないため粒度分布、含水率等の基本的な調査しかできなかった。今後、生成物の集積を待って各種の分析を行う計画である。
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