植物体の根における水移動抵抗の温度依存性について大豆を用いて全体抵抗を通導抵抗と透過抵抗に分けて測定を行った。根の全体抵抗抵抗は13℃までは水の粘性係数の増加とほぼ同じ変化をしているが、13℃を下がったあたりから急激に増加することが明らかになった。透過抵抗は18℃から13℃の間は水の粘性係数と近い変化をしているが、13℃を下がったあたりから抵抗が急激に増加する。このことから根の膜の性質がこの温度域で急変し、結果として、それが全体抵抗の温度依存性に大きく影響していることが明らかになった。 さらに全体抵抗における各抵抗成文の寄与する割合を調べた。全透過抵抗の割合は23〜13℃ではほぼ一定であるが、13℃以下では急増し、8℃では90%にまで増加する。また、常温では通導抵抗も無視できないことが分かった。これらのことから水移動抵抗の温度変化は、抵抗が急増する閾値(この大豆では13℃)までは水の粘性変化に起因するが、閾値以下では脂質等の変化による膜構造の変化に起因すると結論づけることができた。しかし高温側の閾値については本研究では結論を得れず、今後の課題として残された。 今後は、さらに温度依存性と作物の適温関係を調べたり、他の品種、特に耐冷品種の水移動抵抗の温度依存性を追及する必要がある。またさらにSPACモデルの中に温度効果を加味する必要がある。
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