研究概要 |
本研究目標は,各家畜の体温調節特性を明かにし,合理的な防暑技術の選択とその運用法を提示することにある。本年度は,豚の体温調節特性について,体温調節性生理反応に及ぼす環境温度と飼料摂取量の影響を調べ検討したい。いずれの実験にも体重30kgまでの育成豚を用いた。解析に用いた条件は,環境温度25〜37℃と熱産生量18〜30kj/kg^<0.75>hであった。以下に示すデータは,昼(13-15時)と夜(1-3時)に1頭ずつ豚を網のクッション上に保定して測定した結果を用いた。 直腸温に対する環境温度の上昇と,熱産生量の増加の影響は,いずれにおいても上昇し,安定するという明瞭な反応として認められた。この反応は,皮膚温や呼吸数の変化から,放熱ルートが顕熱から潜熱に変わるために必要なものと判断された。この反応とは別に,直腸温の日内変化,すなわち,正常範囲内の上昇と降下は,熱産生量の変化と直接関係なく生じることと,33℃以上の高温下でこの日内変化の消失が認められた。また,耳,足先,尾などの末端部皮膚温は,直腸温の日内変化と関係して変化することが認められ,注目させられた。すなわち,直中温が低い,あるいは,下降期にあるときは,末端部皮膚温は上昇ないし高めとなり,逆に,直腸温が高い,あるいは,上昇期には,末端部皮膚温は低めであった。この関係についてはさらに検証しなければならないが,末端部皮膚温の変化が放熱の促進や抑制,すなわち,体温調節上の要求を表わすものと思われ,環境管理のモニターとして役立てられるものと思われた。
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