研究概要 |
1.ストレスによる免疫機能抑制のモデルを確立するために、実験動物としてラットを用い、ケージ床面に設置したグリットに間欠的に通電(2-3mA,1分間に2秒間)する、いわゆるフットショックを与えた。30分後に脾臓をホモゲナイズし、リンパ球を分離して、invitroで幼若化反応(conA応答)と細胞障害活性(NK活性)を調べたところ、対照ラットに較べて、両反応共フットショックストレスにより、強く抑制されることが判った。このようなリンパ球機能の抑制は副腎を摘除したラットでもみられたが、交感神経節ブロッカーの前投与によって解除された。従って、ストレス→脳→交感神経→脾臓という一連の経路が示された。これは、脳内にIL-1やTNFを投与した時にみられる脾リンパ球機能の抑制と基本的に同じであり、ストレス反応時の脳内サイトカインの関与を示唆する新知見である。 2.上記の免疫機能抑制に関与する脳内部位を明らかにするために、視床下部の種々の神経核を電気刺激して、脾臓リンパ球活性を測定した所、特に交感神経の中枢部位である腹内側核(VMH)を刺激した時に強い抑制がみられた。この場合も、副腎摘除によっては影響されないが、節ブロッカーで解除された。従って、VMHがストレスによる免疫抑制に深く関わっていることが判明した。
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