研究課題/領域番号 |
07456131
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 良博 東京大学, 農学部, 教授 (90092303)
|
研究分担者 |
小川 健司 理化学研究所, 動物試験室, 研究員 (50251418)
九郎丸 正道 東京大学, 農学部, 助教授 (00148636)
|
キーワード | ハタネズミ / 精子 / IVF / 卵子透明帯 / ハイポタウリン |
研究概要 |
すでに予備試験において、ハタネズミ精子がマウスおよびハムスター卵子を高率に(80%以上)通過できることを明らかにしていることから、今回このハタネズミ精子がマウスとハムスターの卵子以外の異種動物の卵子透明帯を通過できるか否かをまず検討した。その結果、ラット、マストミス、スナネズミの卵子透明帯は通過できないことが明らかとなった。一方、同種であるハタネズミの卵子透明帯への通過率は、マウスやハムスターに比べ、明らかに低率(約20%)であった。しかもそれらの卵子はハタネズミ精子が侵入しているにもかかわらず受精していなかった。以上の事実から、この実験系では精子が受精能を獲得していないことが明らかとなった。次なる実験としてハタネズミの体外受精(IVF;in vitro fertilization)を試みた。精子濃度、前培養時間、培養液の改良を重ねた結果、精子の前培養時間を30分〜2時間、精子の濃度を前培養時1X10^7cell/ml、媒精時1X10^6cell/mlの設定条件で受精率も再現性も非常に高いIVFに成功した。また培養液に1mMのハイポタウリンを加えることによって受精率は高率となり、ハイポタウリンは精子の前培養よりも媒精時に効果があることが示された。それらのIVF卵は培養してもほとんどは胚盤胞期まで発生しなかったが、偽妊娠状態になった雌の卵管に移植したところ、正常な産子が作出できた。以上の一連の実験によってハタネズミの最適なIVF条件が確立でき、またこの方法によって作出したIVF卵は正常であることが判明した。今回の体外受精一受精卵移植の成功は哺乳類として16番目に当たる。
|