研究概要 |
遺伝性の気道過敏症モルモット(BHS)および非過敏性モルモット(BHR)における気道収縮の特徴について、代表的な気道収縮薬であるアセチルコリン(ACh)およびヒトスタミン(His)のエ-ロゾル吸入および静脈内投与に対する反応性を比較した。また、同様な比較を正常なHartley系モルモットとの間で行った。気道収縮は1回換気量(VT)、呼吸抵抗(Rrs)、特殊気道コンダクタンス(SGaw)、動肺コンプライアンス(Cdyn)を指標とした。ACh(0.0125-0.1%)およびHis(0.01-0.08%)のエ-ロゾル吸入(150秒間)によって、BHSでは吸入前に比較して、VT,SGaw,Cdynの有意な減少、Rrsの有為な増大が示され、気道収縮反応が明瞭であった。一方、BHRおよび正常モルモットでは有為な気道収縮変化が認められなかった。BHRでは、AChおよびHisの一部の濃度において、VTの増加、Rrsの低下などBHSとは異なる反応が認められた。ほぼ同様な収縮反応の差異がACh(2-32mg/kg)の静脈内投与で認められたが、His(0.5-8mg/kg)ではBHSとBHRとの差が不明瞭であった。Hisのエ-ロゾル吸入による気道収縮は硫酸アトロピンエ-ロゾル(005,0.4%)の前投与によって、一部の濃度、(002-0.04%)で有意に抑制された。 これらの実験成績から、BHSおよびBHRは気道収縮の感受性(閾値、反応の強さ)の点で明らかに異なっており、喘息の基礎病態である気道過敏性を研究する上で有用なモデル動物であることが明らかになった。
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