研究課題/領域番号 |
07456140
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
稲葉 睦 東京大学, 農学部, 助教授 (00183179)
|
研究分担者 |
松木 直章 東京大学, 農学部, 助手 (40251417)
土井 邦雄 東京大学, 農学部, 教授 (70155612)
小野 憲一郎 東京大学, 農学部, 教授 (50111480)
|
キーワード | 赤血球膜 / 遺伝子疾患 / バンド3 / アニオン・トランスポート / 血液酸塩基平衡 / 膜タンパク質 / O_2 / CO_2運搬 / ウシ |
研究概要 |
A.アニオン輸送異常に関連した解析 血液ガス・酸塩基の定期的測定を行い、バンド3欠損症で軽度ながら慢性のアシドーシスが生じることを明らかにした。一方で、O2/CO2交換はほぼ正常であることを確認した。また、^<35>SO4^<2->等を用いてアニオン輸送能を測定し、欠損症赤血球におけるアニオン輸送が極めて低レベルであることを明らかにした。これらの成績は、バンド3機能が酸塩基平衡に重要であることを示す一方、そのO2/CO2交換における役割は従来の定説ほど必須のものではないことを示唆している。 B.膜構造異常の解析 フリーズ・フラクチャー法、表面レプリカ法、免疫電顕等での観察を行った。その結果、バンド3欠損赤血球膜において、膜骨格構造の機能的構築が質的・量的に障害を有することが明確になった。 C.遺伝子異常実態の解明 正常、ならびに完全欠損症牛の骨髄細胞から調製したmRNAを用いたRT-PCR法によりバンド3 cDNAフラグメントを得、これらをクローンかして塩基配列を解析した。その結果、ヒトバンド3 cDNAの646番目に相当するコドンにナンセンス変異(CGA→TGA;Arg→Stop)が見出された。このナンセンス変異は、バンド3分子膜貫通性ドメインのほぼ中央部でタンパク質合成をストップさせるものである。この変異は完全欠損症牛の染色体DNAでも確認された。ヘテロ接合型と考えられる、完全欠損症牛の母牛の染色体DNAには、正常、ならびにナンセンス変異両方の配列が存在した。以上から、このナンセンス変異が、バンド3欠損症の原因遺伝子異常であると結論した。
|