研究課題/領域番号 |
07456142
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長谷川 篤彦 東京大学, 農学部, 教授 (90011923)
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研究分担者 |
亘 敏広 東京大学, 農学部, 助手 (50220950)
中山 裕之 東京大学, 農学部, 助教授 (40155891)
辻本 元 東京大学, 農学部, 助教授 (60163804)
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キーワード | アポトーシス / 免疫不全症 / ネコ免疫不全ウイルス / 自己免疫疾患 / リンパ系腫瘍 / p53 |
研究概要 |
アポトーシスを調節する遺伝子の基礎的検討においては、今年度は犬のp53癌抑制遺伝子の解析を行った。得られたクローンには、381のアミノ酸をコードする全翻訳領域が含まれていた。犬のp53遺伝子においても、5つの種間保存領域やSV40のlargeT抗原の結合領域、核移行シグナルおよび多量体形成に関与する領域の配列はよく保存されており、他種のp53遺伝子と同様の機能を持つことが予想された。免疫不全症におけるアポトーシス誘導の解析においては、FIVに自然感染したネコのリンパ球におけるアポトーシスの誘導について検討した。その結果、培養後、死滅するリンパ球の全体に占める比率は、FIV非感染ネコでは平均8.4%であったのに対し、FIV感染ネコでは平均15.8%と上昇する傾向にあった。さらに、表面抗原を解析した結果、T細胞、B細胞の両サブセットとも細胞死を起こすことが明らかとなった。腫瘍におけるアポトーシス抑制の解析においては、犬の自然発生腫瘍におけるp53遺伝子の変異をPCR-SSCP法によって解析した。その結果、悪性リンパ腫の1例、単球性白血病の1例、骨肉種の1例においては2本の異常バンドが、大腸癌の1例において4本の異常なバンドが検出された。塩基配列を決定したところ、悪性リンパ腫の症例ではコドン237、単球性白血病の症例ではコドン191および238、骨肉種の症例ではコドン182のアミノ酸の変異が確認された。また大腸癌の症例においては、両方のアレル複雑な変異が検出された。これらの変異はいずれもp53の中心的な機能であるDNAの結合に関与する領域に存在し、p53の機能の不活化が予想された。
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