研究課題/領域番号 |
07456143
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
山根 義久 東京農工大学, 農学部, 教授 (50262225)
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研究分担者 |
鈴木 馨 東京農工大学, 農学部, 助手 (90226499)
丸尾 幸嗣 東京農工大学, 農学部, 助教授 (40124276)
野一色 泰晴 横浜市立大学, 医学部, 講師 (60033263)
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キーワード | 血小板凝集能 / 血液凝固時間 / 僧帽弁閉鎖不全症 / 心筋線維化 / 犬 / 微小血栓 |
研究概要 |
初年度(平成7年度)においては、犬の僧帽弁膜症自然発症例において各種機器(ACT測定装置、血小板凝集能測定装置、多要素心電計)により多くのパラメーターを測定検討し弁膜症と血栓形成、さらに心筋線維化のメカニズムの考察を行った。また、平成8年度には家兎を用いて弁膜症の病態モデルを作成し、定期的に血小板凝集能や粘着能などを測定し、さらに抗血小板薬の投与群、非投与群をつくり、両者間における差異を検討した。しかし、家兎を用いた病態モデルにおいては血小板凝集能の値においてバラツキが多く、一定性が見られないため、急遽犬を用いて病態モデルを作成し、同様の検討を実施したところ以下の興味ある知見を得た。 1.僧帽弁膜症自然発症犬における血小板凝集能は、実験前に想定していた凝集能の亢進は、逆に対照群に比較して有意に低下していた(投稿予定)。その結果、血液逆流により血小板が疲労し凝集能が低下していることが示唆された。 2.弁膜症自然発症犬における心臓標本においては、確かに肉眼的および組織学的には、主に弁膜に血栓形成はみられるものの、心筋線維下部分において血栓形成がすべて関与しているという確認は得られなかった。むしろその関連性は低いものであった。 3.実験スタート前に予測していた家兎を用いての実験を変更し、犬において病態モデルを形成し、抗血小板薬の投与群、非投与群において血液凝固学的に検討したところ、投与群において確かに血小板凝集能の低下は認められ、剖検の結果、血栓形成においてもやや差は認められたが、心筋繊維化の程度においては有意差は確認できなかった。 以上の結果より、確かにヒトで多くの報告に見られるように弁膜症においては血栓形成は程度の差はあるものの発生するが、それが心筋線維化の原因とするには更なる検討が必要である。さらに血小板凝集能が予想に反して弁膜症群で低下していたことは興味あることで、血栓が生じている事実からすれば、恐らく発症後のあるステージにおいて亢進している時期があることが示唆された。現在さらにこの点について病態モデルにおいて検討中である。
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