研究概要 |
鶏に感染するEimeriaには9種類が報告されており、原虫は多種多様な抗原から成り立っている。E.acervulinaのスポロゾイトに結合する7種類の鶏型モノクローナル抗体(mAb)を用いて、野外で発生率の高い他の6種類のEimeriaすなわちE.brunetti(EB),E.maxima(EMa),E.mitis(EMi),E.necatrix(EN),E.praecox(EP),E.tenella(ET)との間に共通抗原が存在するかを確認した。各種Eimeriaのスポロゾイトをサイトスピンにより塗末を作成し、間接蛍光抗体法にで観察した。さらに超音波破砕したスポロゾイトをウェスタンブロット法により抗原蛋白の存在を確認した。 8E-1 mAbは、間接免疫蛍光法による観察において、6種類のEimeria全てに共通抗原性を示した。ウェスタンブロッティングにおいてはET,EN,EPに共通の32kDaの抗原が認められ、EBを除く5種に260kDaの共通抗原が認められた。また、MAb FISCはET,WN,EB,EMaに蛍光を示し、この4種類とEPに共通の45kDaの抗原を検出した。HE-4 mAbはEBにのみ蛍光を示したが、ET,EN,EP,EMaに共通した44kDaの抗原を検出した。8D-2mAb抗体はEBにのみ蛍光を示し、ET,EN,EPに共通の44kDaの抗原を検出した。なお、蛍光が認められた部位は全ての場合においてスポロゾイト前端のアピカルコンプレックスであった。 以上の成績より、当研究室で作成したmAbsはEimeriaの住み分けに関する研究において重要だと考えられ、以後これらmAbsを用いた更なる研究により、コクシジウム感染防御能を持つ合成ワクチンの開発に寄与するものと考えられる。
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