研究概要 |
本研究では棲み分けが比較的はっきりしている鶏コクシジウムの一群を用いてとくに寄生部位特異性の機構を解明することを目的とする。 (1)アイメリア原虫と糖との関連について 培養細胞系を用いたアイメリア原虫の侵入における糖残基の役割について解析を行い、D-galac-toseがアイメリア原虫のスポロゾイトの宿主細胞侵入に重要な役割を演じていることが判明した。 (2)コ-ノイドに対するモノクローナル抗体の作成とその特性について 鶏モノクローナル抗体系を用いて、アイメリア原虫に対するモノクローナル抗体を作成し、その特性を協商点レーザー顕微鏡を用いて観察した。試験した6種類全てのスポロゾイトにおいて6D-12-G10に対し強い蛍光反応を示し、さらに、E.acervulinaと類似する特異的な極性がスポロゾイト前端に認められた。ウェスタンブロテイグ法においては、いずれの種類においても有為なバンドが検出されなかった。 (3)モノクローナル抗体の宿主交差反応について E.acervolinaのスポロゾイトに結合する7種類の鶏型モノクローナル抗体(mAb)を用いて、野外で発生率の高い他の6種類のEimeriaすなわちE.brunetti(EB),E.maxima(EMa),E.mitis(EMi),E.necatrix(EN),E.praecox(EP),E.tenella(ET)との間に共通抗原が存在するかを確認した。各種Eimeriaのスポロゾイトをサイトスピンにより塗末を作成し、間接蛍光体法にで観察した。さらに超音波粉砕したスポロゾイトをウェスタンブロット法により抗原蛋白の存在を確認した。 以上の成績より、当研究室で作成したmAbsはEimeriaの住み分けに関する研究において重要だと考えられ、以後これらmAbsを用いた更なる研究により、コクシジウム感染防御能を持つ合成ワクチンの開発に寄与するものと考えられる。
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