研究分担者 |
本林 隆 東京農工大学, 農学部, 助手 (20262230)
細矢 伸之 東京農工大学, 農学部, 助教授 (40014948)
寺岡 徹 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60163903)
坂上 寛一 東京農工大学, 農学部, 助教授 (10014961)
塩谷 哲夫 東京農工大学, 農学部, 教授 (60226107)
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研究概要 |
耕起の有無,施肥の違い(化学肥料または堆肥)および農薬散布の有無の3処理を組み合わせた栽培試験圃場(1.5ha)において,冬作にエンバク,夏作に昨年同様ダイズを作付け,以下の結果を得た. エンバクの収量は(耕起)・(化学肥料・堆肥併用)・(農薬散布)の組み合わせ区で最高の11.3ton/haに達した.また,耕起区の収量は不耕起区よりも有意に高く,化肥区よりも堆肥区の方が収量が高くなる傾向が認められた.ダイズの収量においては耕起と不耕起の違いの影響は明らかではなかったが,化肥区と堆肥区とではエンバクと同様に堆肥区の方が有意に高かった.このことから,堆肥区では4年間の堆肥連用により可給態養分の蓄積が進みつつあると推察される. 耕起の有無は雑草の種類に大きく影響し,耕起区ではヒユ科雑草が,不耕起区ではイネ科雑草が優占種となった.雑草発生量は不耕起区の方が明らかに多く,新たな雑草抑制対策が必要である. 土壌の化学性にも差が生じていることが判明した.土壌pH(H_2O)は,堆肥区の平均が6.4(エンバク跡)および6.7(ダイズ跡)であったのに対し,化学肥料区の平均はそれぞれ6.1および6.2であった.また,全窒素,有機炭素などが不耕起・堆肥区で多くなり,とくに,耐水性団粒の安定性に関係が深いとされる熱水抽出性炭素の含有率が不耕起区で有意に高くなった.このことは物理性改善の意味で注目に値する. 1996年4月に8基の簡易型ライシメータを8区画に設置した.本年度は,まだライシメータ上部の土層が安定していないので,試験区間に養分溶脱量の差は認められていないが,今後,次第に栽培管理体系と溶脱(地下水汚染)との関係が明らかになってくるものと期待される.現在,土壌残存養分の溶脱との関連で,土壌バイオマスによる養分保持能を検討中である.
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