研究概要 |
光合成を構成する二つの反応のうち、光化学系は光エネルギーから化学エネルギーを生産し、供給する作用系、また炭酸固定系は生産された化学エネルギーを消費し炭水化物を生産する作用系であり、エネルギーの面から見れば両者はソースとシンクの関係にある.これまで、作物学の分野における光合成研究はガス代謝と炭酸固定系に重点がおかれており、光化学系に関する研究はきわめて少ない.しかし、作物が置かれている環境あるいは作物の種類によって二つの反応系のソース・シンクバランスは多様に変化し、炭酸固定速度やエネルギー利用効率に影響するものと考えられる.前年度までは主に回転セクタ法による間欠照射で光化学系と炭酸固定系を制御して両者の相互関係を解析する手段を採ってきたが,本年度は新しい実験方法による研究を展開させるため,クロロフィル蛍光測定装置を改良し,温度,炭酸ガス,酸素濃度などを制御した環境条件下で個葉の光化学系における化学エネルギーの生産、消費の状況を蛍光測定から把握すると同時にガス代謝速度を測定できる装置として完成させた.本装置を使用すれば作物の種類、生育環境、測定条件等による光化学系と炭酸固定系の変化や反応特性を同時に把握できる.マングビーンを材料に解析した実験結果を論文にまとめ日作紀に発表した.
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