研究概要 |
土性が大きく異なる砂丘土,マサ土,赤黄色土のそれぞれに3段階の地下水位,-15cm,-25cm,-35cmの地下水位(20mM塩化ナトリウム溶液)を設定し,ダイズ(タマホマレ)を栽培する条件あるいは無栽培の条件を設けた.相対湿度30%,気温35℃,照度3万luxの乾燥地気象条件下での各処理における14日目の土壌水分プロフィルと塩類プロフィルを調査し,土性,地下水位,作物の有無が塩類集積に及ぼす影響について考察を加えた. 砂丘土においてはダイズの生育量は地下水位が低いほど減少したが,赤黄色土では逆に地下水位が低いほど良好であった.マサ土では-25cm区で生育がもっとも良好であった.水分不足でダイズが枯死した砂丘土の-35cm区を除くと,植物の存在は表面土壌の塩類集積を促進することがわかった.-15cm区は表面土壌まで水分が容水量を超えたために塩の再分布が起こり,そのために塩濃度は低くなったと考えられた.上述のように-35cm区は地下水は土壌表面まで上昇しなかったため,植物は枯死し,塩類集積はみられなかった.これらの結果-25cm区で塩類集積がもっとも著しかった. マサ土においても-15cm区と-25cm区は砂丘土と同様の現象が起きたといえるが,-15cm区において砂丘土ほどの塩の再分布はみられなかった.-35cm区においても地下水は土壌表面まで上昇し,若干の塩類が集積した.-25cm区は生育が良好で蒸散が多く,塩類の上昇が起こり,再分布の程度が小さかったために塩類集積がもっとも大きかった. 赤黄色土においては-15cm区の植物は明らかに湿害を受け,生育が悪いために水消費が少なく,塩類集積は少なかった.逆に-35cm区は生育がもっとも良好で蒸散も多かったが,土壌の高CECのために地下水中のナトリウムが上昇する間に土壌中の他の陽イオンと交換するため表面土壌における塩類集積の程度は小さかった.したがって-25cm区の集積がもっとも大きかった. 以上のように,土性にかかわらず地下水位25cm-が塩類集積をもっとも促進するという興味深い結果が得られた.
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