研究概要 |
申請者はシイタケ、ヒラタケ、マイタケのリポキシゲナーゼ(LOX)とヒラタケ、マイタケのヒドロペルオキシドリアーゼ(HPOL)の精製と反応生成物の解析を同定を行った。シイタケ、ヒラタケ、マイタケのLOXが不飽和脂肪酸のリノール酸を過酸化して13-ヒドロペルオキシドリノール酸をつくる。つづいて、HPOLが生成したヒドロペルオキシドリノール酸を切断し、きのこの主要な香り成分であるC8化合物の1-オクテン-3-オールをつくる経路を明らかにした。GC-MSにより、きのこの香り成分を検索したところ、1-オクテン-3-オールが最も多く、つづいて3-オクタノール、1-オクテン-3-オールが検出された。シイタケでは僅少の1,2,4,6-テトラチエパンが、ヒラタケでは桂皮酸メチルが検出された。 ヒラタケのLOXの生成を試みた。精製酸素の最適pHは8で、酸性側のpH2.5〜3.0のところにも若干の活性があらわれたが、その原因については今後明らかにしたい。ヒラタケLOXの分子量は87,000であった。 つづいてヒラタケLOXの一時構造を明らかにするため、精製酸素のSDS電気泳動を行い、酸素タンパク質の泳動部分を溶出し、ペプチド-クエンサーでアミノ酸の検出を試みたが検出できなかった。これは酵素タンパク質のN末端がブロックされているためと考えた。今後、種々の方法を用いて本酵素が十分量得られるよう努力し、これを用いてcDNAライブラリーを作成し、これらのタンパク質をコードする遺伝子を分離するよう努力したい。
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