研究課題/領域番号 |
07456159
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
神山 恒夫 国立感染症研究所, 獣医科学部・人獣共通感染症室, 室長 (70100071)
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研究分担者 |
松浦 善治 国立感染症研究所, ウイルス第二部・肝炎ウイルス室, 室長 (50157252)
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キーワード | バベシア症 / 血清疫学 / Babesia microti / 人獣共通感染症 / 原虫 |
研究概要 |
B.microtiは野ネズミを自然宿主とし、マダニの吸血によって媒介されてヒトへ伝播する人獣共通原虫感染症の病原体である。本症は欧米では免疫低下宿主を中心に死亡例を含む多数の症例があり注目されているが、わが国ではヒトの感染例は確認されていない。しかし国内の野ネズミに本原虫が検出されていること、およびダニ媒介性感染症が増加していることから本症についても新しい人畜共通伝染病として警戒する必要がある。 本研究では第1年度で本原虫に対する免疫防御にかかわるT細胞サブセットを明らかにし、第2年度には特異CD4陽性T細胞クローンを樹立してその感染防御作用を免疫不全宿主に対する移入実験によって明らかにした。最終年度では血清疫学的手法によってわが国における本原虫の存否を明らかにした。 まず感染マウスの抗体を高感度で特異的に検出できるウエスタンブロッティング法を樹立した。次におもに岐阜県下で約300匹のクマネズミ、ドブネズミ及びハツカネズミを獲得してその血清を用いてB.microti抗原に対する反応性を調べた。その結果、被検血清のうち5検体が明らかな陽性反応を呈した。これらの血清は約30-100kDaの範囲に複数の抗原を認識した。また、被検血清によって認識抗原の種類と数が異なっていた。陽性反応を示した5検体は2箇所の捕獲地に分布していた。この成績は、わが国にもB.microtiが存在することを示唆する最初の血清疫学的成績である。今後は寄生虫学的方法やPCR法によって原虫DNAまたは原虫そのものを確認する必要がある。
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