研究概要 |
1.促進拡散型輸送体蛋白質の各種アイソフォームを特異的に認識する抗体を,蛋白のC-末端のペプチド用いてモルモットとウサギで作製した.これらを用いて二重染色をおこなう方法を確立した. 2.血液-組織関門のなかで,二層の上皮細胞層によって関門が構成されているとき,その間がギャップ結合によって結合されている.ギャップ結合蛋白質のコネキシンアイソフォームについて検索したところ,ラット胎盤合胞体細胞ではコネキシン26,毛様体上皮細胞ではコネキシン43がこれら2層の上皮細胞間に多量に存在し,細胞質間のチャンネルを形成しているのを見出した.以上のことから,糖輸送体GLUT1,コネキシン,GLUT1からなる機構が,これらの系での糖の関門通過にはたらいていると考えられる. 3.ラット胎盤では,糖輸送体GLUT3が多量に発現しているのを見出した.免疫染色によりGLUT3は,GLUT1とは異なる局在を示した.上記のGLUT1とコネキシンを介する糖通過機構に加えて別にあるいは共同して働いていると考えられる.電子顕微鏡レベルでのさらに詳細な検討を計画している. 4.リポフェクション法を用い,極性を持った培養上皮細胞であるMDCK細胞で,糖輸送体のcDNAを発現させた.能動輸送型糖輸送体のSGLT1を発現させた細胞では頂部形質膜に局在し,細胞での局在をきめる情報がこの分子内にあるのが判明した. 5.糖輸送体GLUT5とGLUT1のキメラ遺伝子を培養上皮細胞であるCaco2細胞で発現させると,ある種のキメラ蛋白は頂部に局在するが,別のキメラ蛋白は基底側壁部,ないしは細胞全周に局在するのが判明した.現在さらに詳細に解析中である. 6.低分子量G蛋白に対する抗体は,これらの蛋白の部分ペプチドを合成して抗原とし,ウサギとモルモットを免疫して作製中で,並行してその特性を検討中である.
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