研究課題/領域番号 |
07457008
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
福田 康一郎 千葉大学, 医学部, 教授 (10009649)
|
研究分担者 |
須藤 知子 千葉大学, 医学部, 助手 (20272320)
林 文明 千葉大学, 医学部, 講師 (80173029)
千葉 胤道 千葉大学, 医学部, 教授 (20009525)
|
キーワード | 呼吸リズム / 酸素 / 炭酸ガス / 延髄 / 延髄腹側表層 / 脳切片 / 新生ラット / 若年成熟ラット |
研究概要 |
呼吸リズム形成の中枢機序の解明に低酸素耐性の強い新生ラットの延髄標本が用いられてきた。しかし、その周期性呼吸活動の神経発射パターンは成熟ラットのものとは異なり、炭酸ガス感受性のある延髄腹側表層組織とリズム発生機構間の関係は明らかでなかった。本研究では、生後21-35日の若年成熟ラットと生後1-4日の新生ラットの延髄横断脳切片を作成し、呼吸の周期性活動の発射パターン差と炭酸ガス感受性差を比較検討した。標本は延髄腹頭側表面(化学感受性領野)・顔面神経核の下部・腹側呼吸ニューロン群の頭側部・舌下神経核を含む斜横断脳切片(厚さ600-800μm)を含み、人口脳脊髄液CSF中で潅流して神経活動を記録した。新生ラット脳切片では、摘出延髄・脊髄標本と同様に、pre-Botzinger,Botzinger complex,VRGおよびXII神経核から、5-9bursts/分の周期性活動が記録された。burstsの持続時間は600-1200msであった。潅流液の炭酸ガス濃度低下で周期性活動のbursts発射間隔が延長し、呼吸数が減少した。一方、若年成熟ラットにおいては、延髄腹側表層50-200μmの範囲から、bursts頻度12-15/分、bursts持続時間1000-2300msの周期性活動が記録できた。また、延髄腹側表層部分が健在である場合にのみ潅流液の炭酸ガス濃度低下によってbursts頻度が減少した。この結果は脳切片内に周期性活動発生に必要な神経機構が含まれ、また、炭酸ガス感受性機構も標本内に存在することを示した。しかし、周期性活動の発射パターンはbursts時速時間が短く、成熟ラットに見られるgasping様活動に類似している。一方、若年成熟ラットの脳切片から周期性活動が記録きでたことは新しい発見である。脳切片作成の改良によって、周期性活動発生部位の機能が保たれたためと考えられた。また、bursts発射頻度と持続時間はin vivo標本の正常の呼吸神経活動発射パターンに酷似していた。この差は、周期性活動発射機序の差、脳切片内に含まれる神経組織の部位差あるいは標本障害の程度差に基づくものと考えられた。
|