血管平滑筋細胞内のカルシウム濃度を血管組織内で画像解析を行えるようにするため、冷却CCDカメラを用いた高速高解像度顕微蛍光画像解析システムを組み上げた。設備備品として購入した倒立顕微鏡(ニコンTMD-300)に冷却CCDカメラを接続si、パーソナルコンピューターで制御するとともに、データ処理を行うようにした。蛍光カルシウム指示薬を負荷した血管標本を倒立顕微鏡のステージ上の実験槽に固定し、電気刺激ないし溶液交換による刺激が行えるようにした。この装置を用いて血管壁内の個々の血管平滑筋細胞内のカルシウム濃度を測定することができた。これにより、交感神経伝達物質ノルアドレナリンによって、平滑筋細胞内では周期的に細胞内カルシウムストアからのカルシウム放出を繰り返される、いわゆるカルシウムオシレーションが生じているという共焦点顕微鏡で得た結果を確認することができた。CCDカメラによる画像解析では、以前用いた共焦点顕微鏡より高速にしかも広いダイナミックレンジで測定できることがわかった。共焦点顕微鏡と比べて焦点深度が問題になると考えられたが、適当な対物レンズを用いることにより、平滑筋層の現象を十分観察できることが判明した。今年度は、上記の実験装置を用いて、主としてカルシウム流入経路について、DHP型カルシウム拮抗薬やノルアドレナリンがどのような作用を及ぼすか、解析を進めてきたが、現在までのところDHP型カルシウム拮抗薬は無効であることが強く示唆されている。来年度は、この実験法を用いてさらに解析を進める。
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