研究課題/領域番号 |
07457024
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
稲垣 千代子 関西医科大学, 医学部, 教授 (60025640)
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研究分担者 |
田辺 隆敏 関西医科大学, 医学部, 助手 (50268356)
三上 斗支子 関西医科大学, 医学部, 助手 (40203608)
大谷 ひとみ 関西医科大学, 医学部, 助手 (40140272)
原 満良 関西医科大学, 医学部, 講師 (50192282)
大森 京子 関西医科大学, 医学部, 助教授 (90152256)
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キーワード | 塩素イオン / 細胞内情報伝達 / 最初期遺伝子発現 / カテコラミンβ受容体 / 代謝性グルタミン酸受容体 / G蛋白 / サイクリックAMP / イノシトール三リン酸 |
研究概要 |
塩素イオンの受容体・細胞刺激効果に対する影響を観察し、以下の結果を得た。 (1)塩素イオンの最初期遺伝子発現における役割 脳神経細胞の細胞内塩素イオン濃度([Cl^-]_i)を高めるエタクリン酸をマウス脳室内投与し、ノーザンブロット法により全脳のc-fos mRNAレベルが投与後60分と10-14日をピークとする二相性の上昇を示すことを見いだした。in situ hybridization により海馬神経細胞のc-fos mRNAレベルの変化を、更に詳しく部位別に観察している。 (2)塩素イオンのβアドレナリン性受容体刺激効果における役割 培養ウサギ角膜内皮細胞では、ヨヒンビンによるα_2受容体刺激により[Cl^-]_iが低下し、エピネフリン、イソプロテレノールによるβ受容体刺激は、α_2受容体刺激後にのみNa^+/K^+/Cl^-共輸送系を活性化する。同様のβ受容体刺激効果は、G蛋白活性化薬であるフォルスコリンでも認められ、cAMP依存性プロテインキナーゼの阻害薬により遮断された。β受容体刺激細胞内情報伝達の塩素イオン感受性機構は、G蛋白活性化以後の機構であると推定される。 (3)塩素イオンのグルタミン酸受容体刺激効果における役割 代謝性グルタミン酸受容体遺伝子mGluRlを発現させたCHO細胞を用い、サポニン処理により細胞膜の透過性を高めて[Cl^-]を6mMから100mMまで変化させた。グルタミン酸受容体刺激によるイノシトール三リン酸生成は、[Cl^-]_iが20mMの時最大値を示した。G_i蛋白の阻害剤である百日咳毒素処理後には、上記の[Cl^-]_i依存性が認められなかったことから、代謝性グルタミン酸受容体刺激に伴うホスホリパーゼC活性化は塩素イオン感受性および非感受性の少なくとも二種のG蛋白を介していることが推定される。
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