芳香族アミノ酸アミノ基転移酵素 大腸菌酵素では、X線結晶解析が困難であったので、サルモネラ菌酵素のクローニングと塩基配列決定を行ったが、なお良質結晶が得られないことが判明したので、パラコッカス酵素に切り換えた。大腸菌をパラコッカスtyrB遺伝子でトランスフォームして量産系を確立し、精製酵素について酵素化学的性質を調べた。大腸菌酵素との一次構造類似性は40%であるが、吸収スペクトルや基質特異性は極めて類似していた。良質の結晶が得られ、X線解析を終了した。目下基質結合時の結晶解析を進めている。 本酵素はアスパラギン酸とグルタミン酸をも芳香族アミノ酸と同程度基質にする。基質のジカルボン酸側鎖と芳香環側鎖を同時に認識できる機構を解明するために、L-エリトロー3-ヒドロキシアスパラギン酸とL-エリトロー3-フェニルセリンとの反応を比較分析した結果、側鎖のカルボキシ基とフェニル基が同じ部位に収納されることを推察することができた。 分岐鎖アミノ酸アミノ基転移酵素 X線結晶解析を終了した。2量体が3個集合した6量体構造が明らかになり、これまでの蛋白化学的、物理化学的分析結果を確認することができた。基質アナログ共存での結晶解析を続行中である。 トリプトファナーゼ 詳細な反応機構解明のためのX線結晶解析を行うべく、大量生産系を作成した。10L培養で200〜300mgの精製酵素が得られた。 芳香族アミノ酸脱炭酸酵素 ラット肝酵素の触媒基を検討するために、一次構造のわかっているアミノ酸脱炭酸酵素13種比較し、共通して保存されている残基に部位特異的変異を導入した。His192、Asp252、Asp271、Ser296、Lys303、Tyr332、Arg355はすべて活性発現に関係しており、Asp252、Lys303ならびにTyr332は各々Glu、Arg、Pheでは代用できないことがわかった。また、355位は塩基性アミノ酸であることが活性発現に必要なことがわかった。
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