研究概要 |
(1)遺伝性高血圧症発症ラットの遺伝子に関する研究:10週令のSHR,WKY,SP-SHRの副腎ミトコンドリアによって触媒されるステロイド11-および18-水酸化活性のレベルには有意差はなかった。しかしながらチトクロムP450(aldo)のmRNAレベルを比較したところ,50週令(老化)SHRにおいてのみレベルの著しい低下が認められた。この現象が高血圧病態の発現とどのように関わかっているかを今後解明する必要がある。 (2)本態性高血圧症患者73名と正常血圧者107名のp450(11β)遺伝子のエクソン5と6についてPCR-SSCP分析を行った。その結果,エクソン6に5よりも高頻度に多型性が観察された。つまりエクソン6については180例中19例に電気泳動移動度の異常が見られたのに対して,エクソン5では2例に見られたに過ぎない。異常が認められた症例についてエクソンの塩基配列の決定を行った結果,塩基置換を認めたもののアミノ酸残基の変異は見つかっていない。 ダール・ラットのP450(11β)遺伝子変異のデータから類推すると,この酵素の活性異常を誘発する突然変異は第7エクソンに起こる可能性が大きいと思われるので,第7エクソンについてもPCR-SSCP分析を行うべく現在実験系を設計しているところである。
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