研究課題/領域番号 |
07457045
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
名倉 宏 東北大学, 医学部, 教授 (90022821)
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研究分担者 |
千葉 敏雄 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (20171944)
佐々木 巌 東北大学, 医学部, 助教授 (60125557)
笹野 公伸 東北大学, 医学部, 助手 (50187142)
大谷 明夫 東北大学, 医学部, 助教授 (30133987)
木村 伯子 東北大学, 医学部, 助教授 (80142975)
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キーワード | 粘膜免疫機構 / 消化管粘膜 / 神経ペプチド / 炎症性腸疾患 / 慢性胃炎 / マクロファージ / 視床下部 / ステロイドホルモン |
研究概要 |
本研究は、粘膜免疫系と神経・内分泌系の基本的現象を組織細胞レベルから遺伝子・機能分子レベルで解析し、それぞれの独立性と相互制御機構を解明するとともに、その成果に基づき消化管粘膜の炎症性病変の発症と病態、細胞増殖やアポトーシスによる粘膜上皮細胞の動態の異常による萎縮や腫瘍化、ならびに組織形成や発育障害の成り立ちを明らかにすることを目的に行われた。 1)視床下部-下垂体-副腎(PHA)axisのホルモンカスケードを誘導するホルモンとして知られているCRFと45%のhomologyを有し、ACTH分泌をCRFと同様に促進するurocortinが視床下部室傍核部の血管および下垂体前葉細胞のその局在が認められるとともに、腸管粘膜固有層のマクロファージにそのmRNAと抗原活性が確認された。粘膜の炎症とともにそのマクロファージは有意に増加していた。すなわち、PHA系のホルモンが炎症局所においてもサイトカインと同様に炎症免疫反応の調節因子として働いていることがわかった。 2)腸管で水分泌を促進するとともに、マクロファージの免疫機能を抑制するVIPは視床下部の神経核のほか、腸管粘膜固有層の神経線維網に免疫活性が、そのmRNAが腸上皮間の内分泌細胞に観察された。炎症性腸疾患では炎症の増強と組織の破壊に伴い、VIP神経線維が激減消失していた。 3)細胞内のcortisolを分解しaldosteroneの、mineralodcorticoid receptor結合性を維持するllβHSD2が水分再吸収機能を有する大腸上皮、殊に管腔側に強く発現しており、潰瘍性大腸炎粘膜等の炎症に伴った幼若な再生上皮では消失しており、当該疾患における下痢や水代謝異常に重大なかかわりがあることが証明された。 4)ヘリコバクター感染慢性活動性胃炎において、マクロファジ-と好中球浸潤に随伴して上皮細胞の遺伝子異常とアポトーシスの誘導の促進がみられ、またVIP神経分布の減少と不規則性が観察された。
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