研究課題/領域番号 |
07457056
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
桶田 理喜 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70013977)
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研究分担者 |
松尾 崇 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00165771)
黒岩 俊彦 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (80129832)
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キーワード | 高血圧 / Binswanger脳症 / 血管性痴呆 / 組織計測 |
研究概要 |
平成7年度の研究計画とその成果は以下の通りです。 1.ネコにおける実験的慢性高血圧の脳動脈への影響に関する組織計測的研究(桶田理喜):spontaneously hypertensive rat(SHR)における様な遺伝的背景を除外して高血圧の動脈に対する直接効果を調べる目的で、成熟ネコを8ヶ月間以上の期間に亘ってone kidney DOCA-salt hypertensionの方法で高血圧状態にした。現在までに得られた所見は、4ヶ月間に平均血圧が34.6mmHg以上上昇したネコでは腎動脈の半径が40μ以下の細い領域に中膜肥大が生じたが、それよりも太い領域には肥大は見られず、又、脳動脈には全く中膜肥大は生じていなかった。中膜肥大以外の変化については、腎臓の輸入動脈に硝子化がわずかに見られたのみであり、動脈内膜肥厚やフィブリノイド壊死などは見られていない。従って、少なくとも4ヶ月間の高血圧では、その影響が中膜肥大の形で先ず腎臓の細い動脈に現れるが、それ以外の臓器動脈への影響が出現するにはもっと長期間の高血圧持続が必要であり、現在実験を続けているところである。 2.高血圧を基盤とした血管性痴呆の1つ、Binswanger脳症(BE)の脳動脈病変の性状と分布に関する研究(桶田理喜):BEは高血圧を背景に持ち、大脳白質が広範に脱髄を生じ、それによって痴呆が生じる疾患である。病変が大脳白質に選択的に生じる理由として、大脳白質動脈に粥状硬化症や高血圧性動脈病変が特に著しく生じると考えられるので、それを確かめるために、加令的血管変化が乏しいと考えられる60歳以前に死亡したBE剖検例の大脳の一部を連続切片標本にして定量的に血管病変とその分布を調べている。現在までにBE例が6例、対照となる高血圧性脳出血例が6例集まっている。数例の観察結果では、BE例では大脳白質動脈には粥状硬化症や硝子化などの病変が高血圧性脳出血例のそれよりも高度であると判定されている。
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