研究概要 |
本研究はリンパ腫病型決定の遺伝機構を解明することを目的とし、研究を進めた結果、次の結果を得た。(1)SL/Khマウスとその4系の亜系間の遺伝的相互関係を詳細に解明した。(2)正常の骨髄Pre-B細胞はLECAM-1,LFA-1等の接着因子を発現していないが、SL/Khの自然発生Pre-Bリンパ腫は表現型から正常Pre-B細胞によく似ているにも関わらず、LECAM-1,LFA-1の明瞭な発現があることを示し、変異pre-B細胞のマーカーとみなせることを示した。(3)Tlsm-1の機能を調べるため、胸腺を摘出した(SL/Kh×AKR) F1の腎被膜下にSL/Kh, F1, AKRの胸腺を移植し、発生するリンパ腫の病型、組織由来を検討した。(SL/Kh×AKR/Ms) F1ではDual T and B phenotype lymphomaが多発し、このタイプの腫瘍の発生は胸腺に依存しないが、pure T lymphomはTlsm-1陽性の胸腺の存在に依存していることを示した。(4)これまで発見したリンパ腫関連宿主遺伝子のcongenic系を作出した。(5)Tlsm-1の詳細なマッピングのため、AKXD11とAKXD21の間の退交配系を観察中。(6)野生由来近交系MSM/Msマウスの2つの優性リンパ腫抵抗性遺伝子を同定しChr. 17,19にマップした。(7)ポリゲニックな癌感受性を解析するマウス(SMXA)、ラット(LEXF)の組み替え近交系を作出し遺伝解析を行った。
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