マクロファージ高発現遺伝子の分離と総合的解析

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07457061
• 研究種目: 一般研究(B)
• 研究機関: 大分医科大学
• 研究代表者: 山本 俊輔 大分医科大学, 医学部, 教授 (90040188)
• 研究分担者: 瀬戸口 美保子 大分医科大学, 医学部, 助手 (20236110)
• キーワード: マクロファージ / 遺伝子 / CD14 / トランスジーン / MS2 / 染色体マッピング / mAb

研究概要

1.新たなMφ高発現遺伝子の総合的解析:a)ヒトcDNAの分離:クローン化したBS9とBS10に対応するヒトcDNAを分離解析している。b)リコンビナント蛋白(RP)の分離:各cDNAを大腸菌系、哺乳動物系、昆虫系発現ベクター、pET11-d、pABWN、pBlueBacなどを用いて発現させRPを分離中である。c)抗体作成と利用:各RPに対するmAbを作成する。これらをELISAや組織分布検索に利用する。組織分布検索はフローサイトメトリー(FACS)や酵素免疫染色などで行う。d)機能検索:これまでに判明している種々の蛋白との類似性から各蛋白の機能を推測して種々の実験を設定する。e)ゲノム遺伝子の分離:マウス肝ゲノムDNAライブラリーからゲノム遺伝子および各遺伝子のプロモーター領域を分離し、塩基配列を決定中である。2.CD14について(山本・瀬戸口担当):a)遊離型マウスCD14(smCD14)の遊離:1)LPSおよびサイトカイン(CK)によるsmCD14の遊離動態:LPS刺激によるsmCD14の遊離を経時的に観察し、LPS刺激後に非刺激状態以下のレベルに低下すること以後次第に増加し、正常値を越えて12時間にピークに達することを観察した。2)smCD14の意義に関する実験:smCD14を除去出来る量のmAbを投与効果を検討する。b)リコンビナントmCD14(rmCD14)の作成と意義検索:全長のmCD14とLPS結合部を含むN末端側71個のアミノ酸からなるrmCD14を作成した。現在後者に対する抗体を作成中である。c)Mφ系細胞のCD14およびCK発現:LPSおよびCKによるCD14およびCKのin vivoにおけるMφ系細胞での発現を検討しCD14-CKネットワークを吟味中である。d)トランスジェニックマウスTMの解析:1)膜型および非膜型mCD14 TM(M14MおよびM14S)のC57BL/6へのバッククロスを6世代行い、ホモ化TMの作成を開始した。ヘテロの系ではM14S系でsmCD14が高値で、LPS刺激のさいのTNFαやIL-1β産生が抑制されることを明らかにした。e).mCD14N末端部アミノ酸71個をコードするTMを作成中である。f).第二のシグナル伝達候補蛋白の検討:mCD14やCKの遊離に対する影響を検討中である。MS2について:a)MS2の染色体マッピング:マウスMS2の染色体をFISH法でマッピングし、第7染色体-F3-F4領域に存在することを確認した。b)MS2の機能検索:MS2の種々のRPを作成した。また、細胞内部にSH3様部の機能を検索するためにこの部のRPとsrc蛋白のリコンビナント蛋白を作成した。c)MS2に対するmAbの利用:PAPやFACS法でヒトMS2の組織分布を検討し、末梢血単球および顆粒球、腹腔Mφおよび顆粒球に陽性であることを明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] Saitoh,Y.: "Expression of osteopontin in human glyoma : its corrlelation with the malignancy" Laboratory Investigation. 72. 55-63 (1995)
• [文献書誌] Nasu,K.: "Expression of wild type and mutated rabbit osteopontin in Escherichia coli,and their effects on adhesion and" Biochemical Journal. 307. 257-265 (1995)
• [文献書誌] Takatsuka,N.: "Suppression of TNF-α mRNA expression in LPS-primed macrophages occurs at the level of NF-kB activation,but not" Journal of Immunology. 154. 4803-4812 (1995)
• [文献書誌] Yamamoto,S.: "Structure of the osteopontin gene and promoter" Annals of New York Academy of Science. 760. 44-60 (1995)
• [文献書誌] Yamamoto,S.: "Effect of recombinant osteopontin on adhesion and migration of P388D1 cells" Annals of New York Academy of Science. 760. 378-382 (1995)
• [文献書誌] Miyazaki,Y.: "Osteopontin : Role in cell signalling and adhesion" Annals of New York Academy of Science. 760. 334-342 (1995)
• [文献書誌] Yamamoto,S.: "Leukocyte Typing V White Cell Differentiation Antigens" Springer Verlag, 788-790 (1995)
• [文献書誌] Yamamoto,S.: "Leukocyte Typing V White Cell Differentiation Antigens" Springer Verlag, 1091-1093 (1995)