研究概要 |
寄生虫感染における複雑な免疫現象を解明するためにIFN-γレセプター遺伝子欠損マウス、IL-4遺伝子欠損マウス、Leishmania major抵抗性C57BL/6マウスおよび感受性BALB/cマウスにL.majorを感染させ、IFN-γやIL-4が寄生虫感染にどのような影響をおよぼしているか検討し、以下の結果を得た。1.L.majorをfootpadに接種後、その腫脹を測定した。抵抗性のC57BL/6マウスおよびそのIL-4遺伝子が欠損したマウスでは、両者に差がなく、感染8週目でも約1.5倍の腫脹であった。これに対して感受性のBALB/cマウスとIFN-γレセプター遺伝子欠損マウスでは、感染5週目ですでに前者は約5倍、後者では3倍強の腫脹が認められた。2.BALB/cマウスおよびC57BL/6マウスの膝下リンパ節細胞、脾臓および肝臓におけるIFN-γ産生Th1細胞、IL-4産生Th2細胞をEnzyme-linked immunospot assayおよびFlow cytometry法を用いて検出した。(1)抗原存在下ではC57BL/6およびBALB/cマウスともに、L.major抗原に応答してIFN-γを産生する細胞が検出された。またIFN-γ産生細胞の数はC57BL/6マウスでより多く検出された。このことから、C57BL/6,BALB/cマウスともに、L.major抗原に応答してIFN-γを分泌している細胞が出現していることが示唆された。(2)in vitro、抗原非存在下では感染5週目まで両マウスともIFN-γ産生細胞は認められなかった。(3)in vitro、抗原非存在下では感染5週目まで、C57BL/6マウスではIL-4産生細胞は認められなかった。(4)BALB/cマウスではIL-4産生細胞が脾臓および肝臓で検出され、肝臓では感染の経過に伴い増加した。(5)BALB/cマウス肝臓におけるIL-4産生細胞のphenotypeはγδ^+T細胞が感染2週に増加し、感染4週にαβ^+T細胞が増加し、また感染初期にはCD4^- CD8^-のdouble negativeな細胞もIL-4を産生していることが判明したが、現在この細胞がいかなるものか詳細に検討中である。
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