研究課題/領域番号 |
07457068
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
青木 孝 順天堂大学, 医学部, 教授 (20053283)
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研究分担者 |
奈良 武司 順天堂大学, 医学部, 助手 (40276473)
下河原 理江子 順天堂大学, 医学部, 助手 (50146776)
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キーワード | トリパノソーマ / ピリミジン合成 / カルバモイルーリン酸合成酵素 / アスパラギン酸トランスカルバモイラーゼ / スプライストリーダー(SL) / 単一コピー遺伝子 / パルスフィールド・ゲル電気泳動 / 遺伝子マッピング |
研究概要 |
核酸塩基ピリミジン新生合成経路の初段3酵素は、多細胞動物では多機能単一蛋白質として細胞質に局在するが、Trypanosoma cruziではそれぞれ独立の酵素蛋白質として存在する事実を我々は見出した。このような蛋白・酵素学的相違点についてさらに研究を進め、本原虫の独特な性質を明らかにする目的で3酵素遺伝子の解析を進めている。第一酵素carbamoyl-phosphate synthetase II(CPS II)をコードするcDNAを解析し、5'側からT.cruziに特異的なSL配列(39bp)、中間配列(350bp)、Glutamine-amide transfer(GAT)domain(1077bp)、Linker(45bp)、Carbamoyl-phosphate synthetase(CPS)domain(約3.3kb)を同定した。以上より、本酵素遺伝子の成熟mRNAはtrans-splicingによって形成され、翻訳開始コドン上流に長大な非翻訳配列が存在し、翻訳産物として単独蛋白質(GAT-Linker-CPS)が想定されることから、まったく新しいタイプのCPS IIであることが判った。同様に、第2酵素aspartate carbamoyltransferase(ACT)のcDNA5'末端にもSL配列を認めた。 次に、それぞれの遺伝子に特異的なプローブを作製し、両遺伝子の存在様式および関連性を探った。本原虫のゲノムDNAを多数の制限酵素で個別に完全消化しSouthern hybrydizatoinを行ったところ、どちらのプローブを用いた場合もsingle bandを示したので、両遺伝子はsingle copyとして存在することが示唆された。また、pulsed field gel electrophoresis(PFGE)により染色体DNAを分離し、それぞれ特異的なプローブによりSouthern分析を行った結果、両遺伝子は2つの巨大DNA分子(1.0Mbおよび0.8Mb)に同時に存在することが判明した。これらの結果から、両遺伝子は同一染色体上に存在し、2つの巨大DNAはサイズの異なる相同染色体に由来すると推察された。この点は今後さらに解析すべき興味深い問題である。
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